こんにちは!今回は、企業のデータ保存に広く利用されているNAS(ネットワークアタッチトストレージ)を狙ったランサムウェア攻撃について解説します。
NASは手軽にファイル共有やバックアップができる便利なツールですが、近年、その利便性を逆手に取ったサイバー攻撃が増加しています。「NASに保存しているデータだから安全」と過信していませんか?もし、NASがランサムウェアに感染したら、企業の重要データが全て暗号化され、事業活動が停止する恐れがあります。この記事では、NASが狙われる理由と、取るべき対策について詳しくご紹介します。
1. なぜNASがランサムウェアに狙われるのか?
NASがサイバー攻撃の標的となる主な理由は以下の通りです。
- データの一元管理: 複数のPCやユーザーのデータがNASに集約されているため、攻撃者にとって「一網打尽」にできる魅力的な標的となります。
- セキュリティの甘さ: 専用サーバーに比べて、NASは導入が容易な分、セキュリティ設定が後回しにされがちです。デフォルトパスワードのまま運用されたり、外部からのアクセス制限が不十分だったりするケースが見られます。
- 常時稼働: 多くのNASは24時間365日稼働しており、常に攻撃の機会を提供しています。
- 既知の脆弱性: NASのOSやファームウェアの脆弱性が悪用されることがあります。
2. NASランサムウェアの侵入経路と被害
ランサムウェアは様々な経路からNASに侵入します。
- 脆弱性の悪用: NAS製品のファームウェアやOSの脆弱性が発見され、それを攻撃者が悪用して侵入します。
- 認証情報の窃取: 弱いパスワードや、従業員のPCがマルウェアに感染することで認証情報が盗まれ、NASにアクセスされます。
- 不適切な設定: ポートが開放されすぎていたり、不必要なサービスが動作していたりすると、外部からの侵入を許してしまいます。
NASが感染すると、保存されている全てのファイルが暗号化され、身代金を要求されます。支払ってもデータが復旧される保証はなく、事業活動の停止や顧客からの信頼失墜など、計り知れない損害が発生します。
3. NASランサムウェアからデータを守るための対策
大切なデータを守るためには、多層的なセキュリティ対策が不可欠です。
- 1. 強力なパスワードと多要素認証(MFA)の導入:
- NASの管理者アカウントだけでなく、共有フォルダへのアクセスパスワードも複雑なものに設定しましょう。可能であれば、多要素認証(ID/パスワードに加えて、スマートフォンアプリなどでの認証)を有効にしてください。
- 2. ファームウェアの定期的なアップデート:
- NASのメーカーが提供する最新のファームウェアに常に更新し、既知の脆弱性を解消してください。
- 3. 適切なアクセス制限と不要なサービスの停止:
- NASへの外部からのアクセスはVPN経由に限定し、不要なポートは閉鎖しましょう。また、使用しないネットワークサービスは停止し、攻撃対象を減らしましょう。
- 共有フォルダへのアクセス権限も、必要最小限のユーザーに限定します。
- 4. オフライン・オフサイトバックアップの実施:
- NASのデータとは別に、オフライン(NASに接続されていない状態)で、かつ物理的に離れた場所(オフサイト)にもバックアップを保管することが最も重要です。これにより、万が一NASが感染しても、隔離されたバックアップからデータを復元できます。
- 5. アンチウイルス対策とログ監視:
- NASに対応したアンチウイルスソフトウェアの導入も検討しましょう。また、NASのアクセスログを定期的に確認し、不審な活動がないか監視することも大切です。
- 6. 従業員へのセキュリティ教育:
- フィッシング詐欺メールの識別方法や不審なファイルのダウンロードを避けるなど、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高める教育が重要です。
まとめ
NASはビジネスにおける重要なデータハブであり、そのセキュリティは会社の命運を左右します。ランサムウェアは常に進化しており、一度感染するとその被害は甚大です。
手遅れになる前に、適切なNASのセキュリティ対策を講じ、強固なバックアップ体制を構築することが、データとビジネスを守る鍵となります。
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